こんにちは!
暑い!とにかく暑いですね~。
今からこんな気温じゃ8月なんてどうなるのでしょうか。
さて、先日虫を吐いたという猫さんが来院しました。
よくよくその虫を見ると都会ではあまりみられない虫でしたので
今回そのお話をしてみようかと思います。
↓↓※虫がダメな方は閲覧注意です(’・ω・`)
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マンソン裂頭条虫とは?
↑↑
これが今回のネコさんが吐き出したという虫です。
ずっと見てるとトリハダがたちますねぇ┌|゜□゜;|
この虫は 『マンソン裂頭条虫』 と言います。
冒頭で都会ではなかなか見られないと言いましたが
理由があります。
その理由とはこのマンソン裂頭条虫に感染した猫は
ヘビやカエルを食べたということなのです。
もう少し細かく言うと、本来の感染源はカエルなのですが
そのカエルを食べたヘビ(鳥などもありえる)も感染源と
なってしまうのです。
だからペットショップで買ってきて室内で飼っていれば
この寄生虫にはまず感染しませんし、外に行くノラ猫であっても
感染源であるカエルが少ない地域は感染率は低くなります。
人にも寄生するの?
動物から虫が見つかった時に気になるのは
人にも感染するのかということですよね~。
答えは “YES” です。
マンソン裂頭条虫はヒトに寄生します。
しかし、万が一自分の飼っている猫さんが感染しても
簡単には伝染しません。
たとえ寄生してる子の便が口に入っても感染しないのです。
なぜなら便に含まれるマンソンの卵は
水の中で成長してからじゃないと感染できません。
つまり、人間に感染する場合というのは
- 感染した便を含む水を飲む
- その水から感染したカエルを生で食べる
- 感染したカエルを食べたヘビや鳥を生で食べる
この3パターンです。
まぁ一般的な食生活をしていればまず感染しません(笑)
なんでも生で食べるヒトは注意ですね・・
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診断と治療法
↑↑これはマンソンの虫卵です。
虫自体が便や嘔吐物に出てくることは多くないので
ほとんどは糞便検査で写真の様な卵が見つかって
初めて感染が判明することが多いです。
そしてこの虫卵が見つかると治療ということになるわけですが
マンソン裂頭条虫の治療はやっかいなんです。
というのも普通の虫下しの量では死にません。
『プラジカンテル』という有名な駆虫薬(虫下し)があるのですが
よく感染するサナダ虫などと違い、マンソン裂頭条虫に対しては
通常の6倍量が必要となります。
通常より多い量を投与するということは
それだけ副作用がでる可能性もあがります。
副作用はふらつき、嘔吐、元気がなくなるなどが代表ですが
その他色々な症状がでますので注意が必要です。
しかし中途半端に薬を投与しても死なないので
この量を使用するしかないのです。
マンソンの治療をした当日から次の日にかけては
状態をよく観察しましょう。
そのまま治療しなかったらどうなる?
寄生虫というのは基本的に宿主が死んでしまうと
自分も生きられないので激しい症状を出さないことも多いです。
(全ての寄生虫がそうではありませんが・・・)
マンソン裂頭条虫が感染した時の症状は
- 時々の嘔吐下痢
- 食べても太らない
- 無症状
など一見分かりづらいものが多いです。
治療しなくてもすぐに命に関わることがありませんが
体力のない子猫や老猫ではジワジワ痩せていったり
嘔吐下痢で衰弱死する可能性もあります。
また感染した猫自身が環境を汚染して
さらに感染を広げる原因となってしまうので
やはりきちんと駆虫するべきでしょう。
~~飼い主さんにできること~~
先ほども述べましたがマンソン裂頭条虫は
感染してもなかなか症状がでない場合もあります。
したがって『ノラ猫を保護した場合』は
必ず検便してもらいましょう。
また、『自分の飼っている猫が外に行く場合』もとぼけた顔をして
何を口にしているか分かりませんので定期的な検便と
場合によっては駆虫をしてもらいましょう。
もしマンソン裂頭条虫の感染が確認されたら
自己判断で市販の駆虫薬などを使用せず
獣医師にきっちり治療してもらいましょう。
そして便の中で卵が成長しないように
水にふれさせることなく素早く処理をしましょう。(←ココ重要!)
まとめ
本日のまとめです。
- ヘビやカエルなどを食べた猫は感染する可能性あり
- ヒトにも感染するが生食などしなければ可能性は低い
- 治療には大量の駆虫薬が必要となる
- 感染してもすぐ死ぬことは稀だが徐々にダメージを受ける
- 感染便はすぐに処理する
です。
よくある病気ではありまあせんが
『外にいた』もしくは『外に行く』猫さんが
やせたり下痢したりしたら要注意です。
こういう子はマンソン以外の寄生虫感染もありえますが
そのお話はまたの機会に・・
それではまた!
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こんにちは。マンソンという虫について、便の入った水を飲むとうつる可能性があると書かれていますが、マンソンの卵はミジンコに食べられないとうつらないのではないのでしょうか?それとも、単に水に入るだけでうつるようになるのでしょうか、教えて下さい
>松本さま
コメントありがとうございました。
おっしゃる通りマンソンはケンミジンコというのに取り込まれて
初めて感染力を持つと私の本にも書いてあります。
「便の入った水を飲む」というのは例えば「マンソンの便が入った川や田んぼの水」
なら成立するかもしれません。つまりケンミジンコを含んだ水ならば
あり得るという解釈ではないでしょうか?
私も実験をしたわけではなく教科書レベルのことしかお答えできません。
申し訳ありません。
しかし、言えることはマンソン感染の便をすぐに処理すれば
感染は成立しないと言えるので外に行く猫の便はすぐに処理するということが
無難です。ただしこれはマンソンだけのお話ですが・・。