獣医師として犬にアポキル錠を使用した感想

10.032017

この記事は5分で読めます

 

こんにちは!

 

 

最近HPシステムのアップデートに伴い

サイトが見られなくなっていたようです(’・ω・`)

 

忙しくてチェックしておらず気づいたら自分も

アクセスできずに右往左往しておりましたが

なんとか修正できました。

 

ご迷惑をおかけしました~。

 

 

さて今回は病気についてではなく、

「アポキル錠」 という薬についてお話しようと思います。

 

 

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 アポキル錠とは?

 

このお薬の名前を知っている人は多いと思います。

 

おうちの子が皮膚病で悩んでいる場合、

獣医さんから処方されたり提案されたりしたことがあるのではないでしょうか?

 

 

知らない人のためにお話しますが

アポキル錠とは一言で言ってしまうと「痒み止めの錠剤」です。

 

 

成分名は「オクラシチニブ」と言います。

痒みに関係するヤヌスキナーゼというものを阻害することで

痒みを抑えます。

 

このHPでは詳しくは述べませんが癌の薬でも注目されている

「分子標的薬」というものです。

 

 

医学の発展とともに獣医学も大いに発展してきましたが

痒み止めに関してはまだまだ種類が少ないのが現状です。

 

 

みなさんも聞いたことがあると思いますが

今でも痒み止めの代表は「ステロイド」です。

 

ステロイドとはもともと副腎という臓器で作られるホルモンですが

人工的に化学合成して薬として作られ現在も様々な病気に用いられています。

 

しかし色々な病気に良く効く反面、

長期で大量使用した場合の副作用が懸念されるため

人間の医者も獣医もステロイドを少しでも安全に使用できるように

性質を熟知し注意してきました。

 

 

ステロイドの他にもいくつか痒みを抑えるためのお薬は

ありましたがステロイド程の効力を持つものはなく

結局痒みをコントロールできずにステロイドに戻ってしまう

ということもよくあります。

 

 

そこへ救世主のように現れたのがアポキル錠なのです!

 

 

アポキル錠の特徴は?

 

アポキルといったら最大の特長はこの2つ!

 

  • 痒みを抑える効果が高い
  • 副作用が少なく規定量の使用では1年は安全

とうことです。

 

 

じゃあこれからはステロイドは全部アポキルにすれば良いんじゃないの?

と思われた方もいらっしゃると思います。

 

 

ここでステロイドとアポキルの違いを知るために

ステロイドとアポキルのメリットデメリットを

簡単にお話します。

 

 

まずステロイドのメリットとして

  • 抗炎症効果が抜群
  • 痒みも痛みも抑える
  • 過剰な免疫を抑えるので様々な免疫疾患に使用できる
  • 比較的安価である

 

 

アポキルのメリット

  • 痒みを抑える効果がステロイドとほぼ同等
  • 副作用が少ない
  • 免疫を抑えないので皮膚の回復を促しやすい

 

などがあります。

 

 

ステロイドのデメリットとしては

  • 長期大量使用や不適切な使用で副作用が出ることがある
  • 免疫を抑えてしまうので感染を助長する可能性がある

 

 

アポキルのデメリットとしては

  • 免疫抑制は弱いので免疫疾患などには使用できない
  • ステロイドよりは高価である。

 

いかがですか?

 

ステロイドもアポキルにもやはりメリットデメリットがあり

皮膚病にはなんでもかんでもアポキルを使えばよいというのは間違いです。

 

 

私もアポキルをよく使用しますが

皮膚病の種類によっては今でもステロイドは使用しますよ!

 

 

じゃあアポキルはどういう時に使うの?ということになりますよね?

 

アポキルのメリットを生かせる時が最大の見せ場です。

 

 

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アポキルを使用するタイミング

 

アポキルは痒みを抑える効果が高いということは先ほどもお伝えしました。

つまり痒みが悪さをしてる場合はかなり有効です。

 

 

具体的に言うとやはりアトピー性皮膚炎が代表だと思います。

 

 

アトピーというと以前まではアレルギー性疾患と認識されていましたが

アレルギー反応だけでなくもともとの皮膚のバリア機能の脆弱性にも原因が

あると分かってきました。

 

皮膚のバリア機能の脆弱性は遺伝子によるものですが

さらにバリア機能を損なうものの一つに「掻く」という行為があります。

 

 

痒み→掻く→皮膚を傷つけ感染や炎症を助長→悪化

 

 

という悪循環にアトピーは陥りやすいです。

 

 

ステロイドは痒みも止めますが免疫を抑えてしまいます。

また長期使用で皮膚を脆弱にしてしまいます。

 

アポキルはその弱点を補ったのです。

つまり痒みは抑えるが免疫は抑えないため

掻く行為によるダメージを減らせる上に、

皮膚の状態が回復する猶予を与えることができるのです。

 

 

ここで誤解しないで欲しいのですが、

アポキルが皮膚を回復するのではなく

皮膚の治癒能力や免疫を邪魔しにくいということです。

 

 

ですからアポキル単体の治療ではなく感染のコントロール、

皮膚を保護する食事、シャンプー、サプリメントなどを併用することによって

良い結果を得られる可能性があるのです。

 

 

また、私個人的な印象としては精神的な要因(ストレスなど)があって

痒みが起こっている場合もある程度有効な印象があります。

 

 

では逆にアポキルが向かない場合というのは

免疫が強く関係する皮膚炎や食物アレルギーなどの食物有害反応と

される皮膚炎、感染症による皮膚炎などには効果がうすいです。

 

 

アトピー犬にアポキルを使用した個人的感想

 

これはあくまで私がアポキルを使用した時の感想ですが

今までステロイドの量を減らすために使用されてきた

抗ヒスタミンや免疫抑制剤(シクロスポリン)という薬と比べても

圧倒的に薬の効き目は高いです。

 

でも、ステロイドと同等かと言われれば10頭に1頭位は

ステロイドじゃないとダメという子もいます。

 

しかしそういう子は使用しているステロイドの量も多いので

アポキル錠を規定量を超えて投薬すれば効果がある可能性があります。

 

 

現在、かなりの症例に使用していますが今のところ明らかな副作用は

出ていません。

 

 

なんといってもネックになるのは値段でしょう。

 

小型犬であれば目が飛び出る程ではないと思いますが

大型犬では使用する量も増えるのでかなりの価格になってしまいます。

 

 

しかし、私としてはアトピーであればメリットは多いため

アトピーときちんと診断されたものであれば一度は試す価値があります。

 

 

そしてここで一つ獣医師として釘をさしておきます。

 

今はインターネットでなんでも買えてしまう時代です。

アポキルもそうです。安価で買えるというメリットもありますが

使用方法を間違える可能性もあります。

 

 

特に注意して欲しいのがこれまで長い間、ステロイドを使用してきた場合

素人判断で急にステロイドを中止してアポキルに切り替えたりすると

反動により重い症状が出る可能性もあります。

 

 

下手をすれば命に関わる場合があります。

 

 

これはアポキルが悪いわけではありません。

でも結果として体調を崩すおそれがあり、

やはり薬の使用というのはまずは獣医師に相談することをお勧めします。

 

(なぜステロイドを急にやめるとダメなのかは別の記事で説明します)

 

 

 

まとめ

 

結構長い記事になってしまいましたがまとめです。

 

  • キルは痒みを抑えるのに特化したお薬
  • アポキルにもメリットデメリットがある
  • アトピー犬であれば試す価値あり
  • 急にステロイドをやめると命に関わることもある

 

です。

 

 

アポキルは本当に画期的な薬であり

これまでの痒みの治療を大きく変えました。

 

しかしまだまだ新しいお薬ですので年単位での使用や

規定量を超えた場合の副作用などに注目して

ステロイドと同じように獣医師として使い方を勉強していこうと思っています。

 

 

本日も最後までお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

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コメント

    • ちかパパ
    • 2018.06.26

    屋外飼いの中型雑種犬です。比較的軽度のアレルギー性皮膚炎と診断され、アポキルの処方を受けて10ヶ月が経過します。かつてはマラセチア菌も疑われ、マラセブシャンプーやノルバサンシャンプーを毎週使いました。レボリューションも継続的に投与したり、コルタバンス(スプレー)も一時的に使用しましたが。現在はオーツシャンプー、薬用ヨードシャンプーを2週に1回程度洗っています。アポキルの投与を止めるとかなり痒いのか散歩の途中に立ち止まり体をかきまくりますので、はなせません。1年を超える使用はできないといわれている一方でアポキル以外に打つ手がないので困っています。いわゆる「ピル抜き」のようなことは可能なのでしょうか?

    • ジュリエッタ
    • 2018.07.18

    掛かりつけの獣医はアポキルを処方する際に粉状にしたり、一日2回を14日間投与後本来なら一日1回にしないといけないのに14日後も継続して1日2回を処方され続けたので我が家の犬が赤子の頃から掛かりつけ医にしている病院に対して不安があります。

    確か、メーカーのhpのQ&Aには一日2回を投与後は1日一回にするとありますし、アポキルを粉末状にした場合の有効性についてはメーカーは推薦していないようなのですが。

    このような使用方法は間違っていないのでしょうか?

    • deydey
    • 2018.07.20

    >ちかパパ さま
    ネットが長期で使用できずお返事遅くなり申し訳ありませんでした。
    もう解決なされたかもしれませんが私の考えをお伝えします。

    皮膚病で苦労されているのが良く分かりました。
    シャンプー対策などもきちんとされておりよくお世話をされているのが伝わりました。
    痒がっている姿は切ないですよね・・

    アポキルに関してですが1年以上は使用できないということでしたが正確に言うと
    「一年以上使用した時の副作用のデータが乏しい」ということです。
    ですので1年以上使用したらすぐにどうにかなってしまうというわけではありません。
    実際に2年程使用している子も結構おり、私の経験状では大きな副作用は経験していません。

    もちろん薬を飲み続ける不安というのはあると思います。
    獣医師もなるべく投薬量を減らしたりするためにシャンプーなども併用しているのだと思います。
    しかしながらどうしてもアポキルに頼らざるをえない子もいます。

    以前まではこういった難治性の痒みにはステロイドや免疫抑制剤で
    長年維持していたことを考えるとアポキルが使用できるようになって
    体の負担という点でベストではなくてもかなりマシになったともいえます。

    そしてアポキルをピル抜きの様なことはできないかというご提案ですが
    そのご様子ですと一時的に投薬を止めると痒みが強くぶり返すかもしれません。
    その強い痒みを抑えるために一時的に投薬量が増える可能性も考慮しなくてはなりません。

    私としては止めるのではなく、痒みの様子を見ながら減量することをオススメします。
    そしてそこでアップしてしまう痒みに対してシャンプー剤+保湿剤の使用、マイクロバブル、
    皮膚のバリア機能を上げるフード、サプリメントなどを試すのはいかかでしょうか。

    また皮膚病というのはとても多い疾患でありますが奥が深い病気でもあります。
    ですので可能であれば皮膚科専門医などにアドヴァイスを受けるというのも選択肢かもしれません。

    >ジュリエッタ さま
    コメントありがとうございます。

    まずアポキルの処方の仕方ですが確かに粉状にしたり
    割ってしまうのはメーカーは推奨していないのは事実です。

    私の場合はどうしても粉にしたり割らなければならない場合は
    飲ませる直前に飼い主さまご自分で粉にしたり割ったりをお願いしています。

    経験上ですが、割ったり粉状にすると全く効果がないわけでもないです。
    その獣医さんが経験と親切心でその様に処方していることもありえます。

    そしておっしゃる通りアポキルの説明書きには2週間使用後は1日1回に
    減量することが書かれています。(良くお調べになられましたね)

    ですが、私の経験では元々痒みが強い場合などは1日1回に減らした
    とたんに痒みがぶり返すという経験も多数あり、やむなく1日2回のまま
    使用している例も結構あります。

    じゃあ副作用はどうかと言うと今のところ大きな副作用は経験しておらず、
    ステロイドを長期で使うよりはよっぽどマシなのでそのまま2回で使用する場合も多いのです。

    なのでその先生が獣医師の責任において1日2回のまま使用したとしても
    そこまで非難されることでもないと思います。
    もし痒みが落ち着いているなら1日1回の減量を試みても良いかなと思いますが・・

    一つ言えることは今回ジュリエッタさまが疑問に思った点を
    直接その獣医師に質問した時に明確な答え、対応がなかった場合は
    あまり良い先生とは言えないかもしれません。

    もちろん手術が上手とかはあるかもしれません。
    しかし、現代では患者さまにきちんと説明するということがとても大事とされています。
    私は良い先生というのはそのあたりもしっかりしていると思います。

    今後の関係を見極める上でこの件についてご諮問してみるのも一つかと思います。

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